70代のバリアフリーリフォーム補助金【2026年北海道版】介護保険・市町村補助を最大活用
70代になると、自宅での転倒リスクや日常動作の困難が急増します。厚生労働省の調査では、65歳以上の家庭内事故の約8割が自宅内で発生しており、その多くは段差での転倒や浴室・トイレでの滑りによるものです。バリアフリーリフォームは単なる「快適化」ではなく、命を守るための重要な投資です。
しかし「リフォーム費用が高くて手が出せない」と感じている70代の方やそのご家族は多いでしょう。実は2026年現在、介護保険の住宅改修費に加え、北海道の各市町村が独自の高齢者向け補助金を設けており、これらを組み合わせることで費用の大半をカバーできるケースがあります。
本記事では、70代に特化した視点で、介護保険住宅改修費(最大20万円)と北海道9市の補助金制度を詳しく解説します。ご本人だけでなく、離れて暮らすご家族が代わりに申請する方法、ケアマネジャーとの連携の進め方まで、実践的な情報をまとめました。
介護保険住宅改修費:最大20万円の基本制度
制度の概要
介護保険の住宅改修費は、要介護・要支援認定を受けている方が自宅をバリアフリー改修する際に、工事費用の9割(または7割・8割)が支給される制度です。支給上限は工事費20万円分、つまり最大18万円が戻ってくる計算になります(自己負担は1割の場合2万円)。
2026年現在、所得に応じて自己負担割合が変わります:
- 一般所得者:自己負担1割(支給額最大18万円)
- 一定以上所得者:自己負担2割(支給額最大16万円)
- 現役並み所得者:自己負担3割(支給額最大14万円)
対象となる工事の種類
介護保険で認められるバリアフリー工事は以下の6種類です:
1. 手すりの取り付け 廊下・トイレ・浴室・玄関・階段などへの手すり設置。最も需要が高く、費用は1箇所あたり1〜5万円が目安です。
2. 段差の解消 居室間の段差、玄関の上がり框(かまち)、トイレや浴室の段差をなくす工事。スロープ設置も含まれます。費用目安は3〜15万円。
3. 滑り防止・移動を容易にするための床材変更 浴室の床を滑りにくいタイルやシートに変更、廊下に滑り止めを施す工事。費用目安は2〜10万円。
4. 引き戸等への扉変更 開き戸を引き戸や折り戸に変更することで、車椅子でも通りやすくする工事。費用目安は5〜15万円。
5. 洋式便器等への便器変更 和式トイレを洋式に変更する工事。費用目安は10〜20万円。
6. 上記工事に付帯する工事 壁の下地補強(手すりを安全に取り付けるため)なども対象になります。
申請の重要なルール
「着工前申請」が原則:工事を始める前に居宅介護支援事業所(ケアマネ)や市区町村に相談し、事前申請を行う必要があります。工事が終わってから申請しても、原則として支給は認められません。
同一住宅・同一対象者で20万円まで:何度でも使えるわけではなく、一生涯で20万円が上限です。ただし「要介護状態区分が3段階以上上昇した場合」または「転居した場合」は、再度20万円まで利用可能になります。
住宅改修費と特定福祉用具購入の違い
混同しやすいのが「特定福祉用具購入」との違いです。手すりでも「工事が必要なもの」は住宅改修費、「工事不要で取り外せるもの」(置き型手すりなど)は特定福祉用具購入(年間10万円上限)になります。ケアマネに相談して適切な区分を確認しましょう。
北海道9市の高齢者向け補助金制度(2026年版)
介護保険の住宅改修費に加え、北海道の各市が独自の高齢者向け補助金を設けています。これらを組み合わせることで、さらに費用を抑えることが可能です。
札幌市:高齢者住宅改修費助成事業
対象者:65歳以上で要支援1〜要介護5の方、またはその方と同居する家族 補助上限:工事費用の2/3(上限10万円) 対象工事:手すり・段差解消・床材変更・扉変更・便器変更など、介護保険の住宅改修と同様の工事が中心 特徴:介護保険の住宅改修費との併用可。介護保険で対応しきれない部分に活用できます。所得要件あり(市民税非課税世帯が優遇)。 申請先:各区の保健センターまたは地域包括支援センター
旭川市:高齢者住宅改修補助金
対象者:70歳以上の高齢者のみの世帯、または要介護(支援)認定を受けた方がいる世帯 補助額:工事費用の1/2(上限15万円) 対象工事:バリアフリー工事全般(手すり・段差解消・スロープ設置・浴室改修など) 特徴:旭川市の場合、70歳以上の高齢者のみ世帯という条件が入っているため、子世帯と同居していない単身・夫婦世帯に手厚い制度です。冬季の安全対策として玄関スロープも対象。 申請先:旭川市高齢者支援課または地域包括支援センター
函館市:高齢者住宅リフォーム助成制度
対象者:65歳以上(要介護・要支援認定不要) 補助額:工事費の1/3(上限10万円) 対象工事:バリアフリー化に関する工事全般(市内業者施工が条件) 特徴:要介護認定がなくても申請できる点が特徴的。元気なうちからバリアフリー化を進めたい70代の方に適しています。市内の登録業者での施工が必須条件。 申請先:函館市保健福祉部高齢福祉課
釧路市:高齢者等住宅改修補助金
対象者:65歳以上で介護保険の要支援・要介護認定を受けた方 補助額:工事費用の1/2(上限10万円) 対象工事:介護保険住宅改修費の対象工事と同様 特徴:介護保険と同時に申請できる仕組みになっており、窓口が統一されているため手続きが比較的スムーズ。ケアマネが一括して手続きを代行できます。 申請先:釧路市福祉部介護高齢課
苫小牧市:高齢者住宅改修費補助制度
対象者:70歳以上または要介護(支援)認定を受けた65歳以上の方 補助額:工事費用の1/2(上限8万円) 対象工事:手すり設置・段差解消・スロープ設置・浴室・トイレのバリアフリー改修 特徴:苫小牧市は独自に市内業者優先制度を設けており、地域経済と福祉が連携した形。70歳以上なら要介護認定なしでも申請可能。 申請先:苫小牧市高齢福祉課
帯広市:高齢者住宅環境整備補助金
対象者:65歳以上で介護保険認定または身体障害者手帳(1〜3級)を持つ方 補助額:工事費用の1/2(上限10万円) 対象工事:バリアフリー工事全般(障害者向け改修と共通制度) 特徴:身体障害者手帳を持つ高齢者の場合、介護保険住宅改修費・障害者自立支援の住宅改修・この補助金の三重活用も検討できます。ただし同一工事への重複支給はできないため、工事の分け方を専門家に相談することが重要です。 申請先:帯広市社会福祉課
北見市:高齢者住宅バリアフリー化補助事業
対象者:70歳以上の方または要介護(支援)認定を受けた高齢者 補助額:工事費の1/2(上限12万円) 対象工事:段差解消・手すり設置・スロープ設置・浴室改修・トイレ改修 特徴:北見市はオホーツク圏の中核都市として、冬季の転倒防止に特化した補助も行っており、玄関外スロープや除雪用手すりも対象となる場合があります。 申請先:北見市高齢者支援課
小樽市:高齢者住宅改良工事補助金
対象者:65歳以上で要介護(支援)認定または身体障害者手帳所持の方 補助額:工事費用の1/2(上限10万円) 対象工事:介護保険住宅改修と同様の工事 特徴:小樽市は坂道の多い地形から玄関スロープや屋外手すりへの需要が高く、屋外部分の工事も対象に含めやすい制度設計になっています。 申請先:小樽市福祉部高齢者支援課
江別市:高齢者住宅改修支援補助
対象者:70歳以上の方(介護認定がない方も対象) 補助額:工事費の1/3(上限6万円) 対象工事:バリアフリー化工事全般(市内業者施工限定) 特徴:江別市は札幌市に隣接しながら独自の高齢者支援策を持っており、70歳以上なら認定不要で申請できるため、介護保険の適用前に先行してバリアフリー化を進めやすい。 申請先:江別市高齢者支援課
バリアフリーリフォームの対象工事と費用の目安
70代の方が最も必要とするバリアフリー工事の費用感を整理します。
浴室リフォーム(最優先)
浴室は家庭内事故が最も多い場所です。転倒・溺死のリスクを下げるため、70代で最初に手を付けるべき場所です。
| 工事内容 | 費用目安 | 補助対象 |
|---|---|---|
| 浴室手すり(2〜3本) | 3〜8万円 | 介護保険・市町村補助 |
| 浴槽をまたぎやすい高さに変更 | 10〜30万円 | 一部補助対象 |
| 床を滑り止め素材に変更 | 5〜15万円 | 介護保険・市町村補助 |
| 浴室全体のユニットバスリフォーム | 60〜150万円 | 部分的に補助対象 |
| 洗い場と浴槽の段差解消 | 8〜20万円 | 介護保険・市町村補助 |
トイレリフォーム
和式から洋式への変更が最も費用対効果の高いリフォームの一つです。
| 工事内容 | 費用目安 | 補助対象 |
|---|---|---|
| トイレ手すり設置 | 2〜5万円 | 介護保険・市町村補助 |
| 和式→洋式便器変更 | 10〜25万円 | 介護保険対象 |
| 温水洗浄便座設置 | 3〜8万円 | 補助対象外(快適設備) |
| ドア→引き戸に変更 | 8〜15万円 | 介護保険・市町村補助 |
廊下・段差解消
| 工事内容 | 費用目安 | 補助対象 |
|---|---|---|
| 廊下手すり(5m程度) | 3〜8万円 | 介護保険・市町村補助 |
| 各部屋の段差解消(1箇所) | 1〜5万円 | 介護保険対象 |
| 玄関スロープ設置 | 5〜20万円 | 市町村補助(状況による) |
| 階段手すり両側設置 | 10〜25万円 | 介護保険・市町村補助 |
費用シミュレーション
例:70代夫婦・要介護1・札幌市在住の場合
想定工事:浴室手すり設置(5万円)+廊下手すり(6万円)+トイレ手すり&ドア変更(12万円)+段差解消3箇所(9万円)=合計32万円
- 介護保険住宅改修費:20万円の9割=18万円支給
- 札幌市独自補助:残り12万円の2/3=8万円支給
- 自己負担:6万円(工事費32万円の約19%)
補助を最大活用すれば、30万円超の工事を6万円の自己負担で実施できます。
家族が代わりに申請する方法
70代のご本人が認知機能の低下や身体的な困難で手続きが難しい場合、家族が代理申請することが一般的に認められています。
代理申請に必要な書類
- 委任状(または代理人申請書):市区町村の書式があることが多い。公証不要で本人の署名・捺印があればよい場合が多いです。
- 代理人の身分証明書(運転免許証・マイナンバーカードなど)
- 介護保険被保険者証(本人のもの)
- 工事見積書:施工業者から入手
- 住宅改修が必要な理由書:ケアマネジャーまたは医師が作成
- 改修前の写真:スマートフォンで撮影したものでも可
離れて暮らす子どもが申請する際の注意点
事前に自治体に連絡する:代理申請の可否や必要書類は自治体ごとに異なります。電話で確認してから動くことで、無駄足を防げます。
ケアマネに連絡を先にする:介護保険の住宅改修費の場合、ケアマネが「住宅改修が必要な理由書」を作成します。家族が遠方に住んでいる場合でも、ケアマネに連絡して書類作成を依頼できます。
工事業者の選定も関与する:評判のよい地元業者を選ぶことが重要です。後々のトラブルを避けるため、複数業者から見積もりを取り、ケアマネや地域包括支援センターに業者の評判を確認するのが理想的です。
郵送対応の可否を確認:多くの自治体では申請書類を郵送で受け付けています。ただし書類の不備があると往復で時間がかかるため、事前確認が重要です。
成年後見人・任意後見人が申請する場合
認知症が進行し、本人が意思決定困難な場合は、成年後見人または任意後見人が申請主体になります。この場合は後見登記事項証明書なども必要になります。いずれにせよ、地域包括支援センターに相談することで適切な手続きの方向性を示してもらえます。
ケアマネと連携した申請の流れ
介護保険の住宅改修費申請では、ケアマネジャー(介護支援専門員)の関与が実質的に必須です。流れを整理します。
ステップ1:ケアマネへの相談(2〜4週間前)
まずはケアマネに「バリアフリー工事を検討している」と伝えます。ケアマネは利用者の生活状況・身体状況を熟知しているため、どの工事が最も効果的かアドバイスをもらえます。また「住宅改修が必要な理由書」の作成依頼も、この段階で行います。
ステップ2:工事業者の選定・見積もり取得
ケアマネの紹介や地域包括支援センターのリストを参考に、2〜3社から見積もりを取ります。介護保険住宅改修費の対象工事かどうかを業者と確認しながら進めることが重要です。対象外の工事(温水洗浄便座の設置など)を一緒に行う場合は、費用を明確に分けて記載してもらいます。
ステップ3:事前申請(着工前)
市区町村の介護保険担当窓口に以下の書類を提出します:
- 住宅改修費支給申請書(窓口または市区町村HPから入手)
- 住宅改修が必要な理由書(ケアマネ作成)
- 工事費用の見積書
- 改修前の写真
- 住宅の平面図(工事箇所を明記)
申請から認定まで通常1〜2週間かかります。認定前に工事を始めると補助が受けられなくなるため、承認通知を受け取ってから業者に着工を指示します。
ステップ4:工事の実施
承認後、工事を実施します。工事前後の写真を必ず撮影しておきます。
ステップ5:事後申請(工事完了後)
工事完了後1ヶ月以内に以下の書類で事後申請を行います:
- 住宅改修費支給申請書(完了報告)
- 工事完了後の写真
- 工事費用の領収書
ステップ6:支給
事後申請から1〜2ヶ月後に指定口座に振り込まれます。先に全額を工事業者に支払い、後から補助金が返ってくる「償還払い」が基本です(受領委任払いを採用している自治体では、利用者が自己負担分のみ業者に払う「受領委任払い」も可能です)。
市町村独自補助との並行申請
市町村独自の補助金は、介護保険の申請とは別に申請が必要な場合がほとんどです。ケアマネに「市町村の独自補助も使いたい」と伝え、一緒に動いてもらうとスムーズです。
よくある質問(Q&A)
Q1. 70代でも年齢制限で申請できない補助金はありますか?
A. 介護保険住宅改修費に年齢制限はありません(要支援・要介護認定が条件)。市町村独自補助は多くが「65歳以上」または「70歳以上」を対象としており、70代であれば大半の制度で申請対象となります。むしろ上限年齢を設ける制度はほとんどなく、80代・90代でも申請可能な制度がほとんどです。
Q2. 要介護認定を受けていない場合、何も補助を受けられませんか?
A. 介護保険住宅改修費は要支援1以上の認定が必要ですが、市町村独自補助は認定不要のものも多くあります(函館市・江別市・苫小牧市の一部制度など)。また「まだ元気だけれど転倒予防のためにリフォームしたい」という方には、国の「こどもエコすまい支援事業」や「先進的窓リノベ事業」などの断熱・省エネ系補助金が利用できる場合もあります(バリアフリー工事が断熱改修と一緒に行われる場合)。
Q3. 家が子どもの名義(家族名義)でも申請できますか?
A. 介護保険住宅改修費は「被保険者が居住する住宅」が対象であり、所有者名義は問われません。借家・賃貸住宅に住む場合でも、家主の同意書があれば申請可能です。市町村独自補助も多くが「居住する住宅」を要件としており、名義は問わないケースが大半です。ただし詳細は自治体窓口で確認してください。
Q4. 一度20万円を使い切ったあと、再度使えるケースはありますか?
A. 以下の場合に限り、リセットされて再度20万円まで利用可能になります:
- 要介護状態区分が著しく悪化した場合(要介護2→要介護5など、3段階以上の変化)
- 住所変更(転居)した場合 同一住所で同一認定区分のままでは再利用はできません。
Q5. 施工業者はどこに頼んでも補助が受けられますか?
A. 介護保険住宅改修費については、特定の業者登録制度はなく、一般の工務店でも申請可能です。ただし「住宅改修費の対象工事に当たるかどうか」を事前にケアマネや自治体に確認してから発注することが重要です。市町村独自補助は「市内業者限定」としているケースが多いため、必ず確認が必要です。
Q6. 申請が通るかどうか事前に確認できますか?
A. はい。介護保険住宅改修費は「事前申請→承認→着工」の流れが原則であるため、着工前に承認が下りなければ工事を始めない、という運用が安全です。ケアマネと一緒に事前相談に行くことで、対象になるかどうかの見通しを立てることができます。
Q7. 工事後に想定外の費用が追加されました。追加分も補助対象になりますか?
A. 事前申請した工事の範囲内であれば、多少の増額でも対応できる場合があります。ただし大幅に工事内容や費用が変わる場合は、変更申請が必要になることがあります。工事中に変更が生じたらすぐにケアマネと自治体に連絡することが重要です。
まとめ:70代のバリアフリー補助金活用3つのポイント
1. 介護保険住宅改修費(最大20万円)を最初に確保する 要支援・要介護認定を受けている方は、最優先でこの制度を活用します。ケアマネに相談し、工事前の事前申請を忘れずに行うことが鉄則です。
2. 市町村独自補助と組み合わせて自己負担を最小化する 北海道の各市は独自の補助金制度を持っており、介護保険との併用が可能なケースが多くあります。居住する市町村の制度を地域包括支援センターで確認し、ケアマネに並行申請を依頼しましょう。
3. 家族が関与して「漏れなく申請」を実現する 離れて暮らす家族でも代理申請や書類準備の支援が可能です。ケアマネと連絡を密に取り、要件確認・書類準備・業者選定を一緒に進めることで、補助金を最大限に活用できます。
バリアフリーリフォームは、70代の方の生活の質と安全を守るための最も効果的な投資の一つです。費用面の心配を補助金でカバーしながら、安心して暮らせる住まいを実現してください。
北海道補助金ナビでは、お住まいの市町村別に最新の補助金情報を提供しています。ぜひ他の記事もご参照ください。
