賃貸でもリフォーム補助金は使える?【2026年北海道版】条件と対象制度を解説
賃貸住宅に住んでいると、「補助金を使ってリフォームしたい」と思っても、「そもそも賃貸でも申請できるのだろうか」と疑問を持つ方は多いはずです。結論から言えば、賃貸住宅は原則として住宅リフォーム補助金の対象外です。しかし、例外的に利用できる制度が複数存在します。また、大家・オーナー側が使える補助金、さらに分譲マンションの管理組合向けの制度も別途あります。
本記事では、2026年現在の北海道における賃貸住宅と補助金の関係を、「借主(テナント)視点」と「オーナー視点」の両面から整理して解説します。持ち家購入を検討すべきタイミングの判断材料も合わせてご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
賃貸が補助金対象外になる理由
そもそもなぜ賃貸住宅は補助金の対象外となるのでしょうか。主な理由は次の3点です。
1. 所有権が申請要件になっていることが多い
国や自治体が実施するリフォーム補助金の多くは、「申請者が対象住宅の所有者であること」を要件に掲げています。たとえば、国土交通省の「子育てエコホーム支援事業」や「先進的窓リノベ2025事業」も、申請者は建物の所有者(または所有者から承諾を得た者)である必要があります。
賃貸の場合、建物の所有者は大家・オーナーです。借主が単独で補助金を申請する権限はなく、仮に工事を実施しても「原状回復義務」との兼ね合いで退去時にトラブルになるリスクもあります。
2. 投資回収の考え方が異なる
補助金制度は、省エネ改修や耐震強化などを通じて住宅の長期的な価値を高めることを目的としています。賃貸住宅の場合、改修によって恩恵を受けるのは所有者(資産価値向上)か入居者(居住快適性向上)かが分かれます。行政は「所有者が主体的に改修する」ことを前提に制度設計しているため、借主単独での申請は想定されていません。
3. 工事の許可・合意形成が必要
賃貸住宅で大規模なリフォームをおこなうには、必ず大家の承諾が必要です。補助金申請においても、工事発注者と建物所有者が一致していることを求める制度が多く、書類上の手続きが借主単独では完結しません。
賃貸でも使える制度(借主視点)
原則は対象外ですが、借主の立場でも利用できる例外的な制度があります。
介護保険 住宅改修費の支給(最重要)
賃貸住宅の入居者が使える制度として最も代表的なのが、介護保険の住宅改修費支給制度です。
この制度は、要介護または要支援の認定を受けた方が、居住している住宅(賃貸を含む)で手すりの設置・段差解消・床材変更・扉の取り替えなどの改修をおこなう際に費用の一部を支給するものです。
主な特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 要介護1〜5・要支援1〜2の認定を受けた方 |
| 住居の種類 | 賃貸住宅も対象(大家の承諾書が必要) |
| 支給限度基準額 | 20万円(うち最大18万円を保険給付) |
| 自己負担 | 1〜3割(所得に応じて異なる) |
| 申請窓口 | 市区町村の介護保険担当窓口または担当ケアマネジャー |
賃貸住宅で申請する場合は、大家・オーナーの承諾書を添付する必要があります。大家側も入居者の生活環境改善に協力しやすい制度設計になっているため、拒否されるケースは少ないですが、事前に丁寧に説明することが大切です。
対象となる主な工事
- 手すりの取り付け(廊下・トイレ・浴室・玄関)
- 段差の解消(玄関の上がり框の緩和、室内の段差埋め)
- 滑り止め・移動を容易にするための床材変更
- 引き戸等への扉の取り替え
- 洋式便器等への便器の取り替え
介護保険の住宅改修は、20万円の限度額内であれば複数回に分けて使用可能です(介護度が3段階上がった場合や転居した場合はリセット)。
障害者向け住宅改造費助成(自治体独自)
北海道内の各市区町村では、身体障がい者・知的障がい者・精神障がい者を対象とした住宅改造費助成制度を設けているところがあります。対象住宅に「賃貸住宅を含む」としている自治体も存在します。
たとえば、**札幌市「重度身体障害者住宅改造費助成制度」**では、身体障害者手帳1〜2級所持者を対象に、賃貸住宅も含めた改造費の一部を助成しています。助成額・要件は市区町村によって大きく異なりますので、お住まいの自治体の福祉担当窓口に確認することをおすすめします。
主な助成内容の例(札幌市の場合)
- 浴室・トイレ・廊下の手すり設置
- 浴槽・便座の交換
- スロープ設置・段差解消
- 引き戸への扉の変更
申請には障害者手帳・所得証明・見積書・工事仕様書のほか、賃貸の場合は大家の承諾書が必要になるのが一般的です。
家賃補助・住宅確保給付金(生活支援系)
厳密には「リフォーム補助金」ではありませんが、賃貸住宅に居住する方向けの住居費支援制度として以下があります。
住居確保給付金(国制度)
離職・廃業等で家賃の支払いが困難になった方に対し、一定期間の家賃相当額を自治体が家主に直接支払う制度です。2026年現在も継続実施中。申請窓口は各市区町村の自立相談支援機関です。
北海道特定優良賃貸住宅制度
北海道が推進する中堅所得者向け賃貸住宅制度で、一定条件を満たす賃貸住宅に居住する方には家賃補助(家賃の差額補填)が受けられる場合があります。
賃貸で使えない補助金と理由
借主の立場では申請できない代表的な制度を確認しておきましょう。
子育てエコホーム支援事業
国土交通省が実施する省エネ改修補助制度。対象は「建物の所有者が申請する新築・リフォーム」が原則。賃貸の借主は申請不可。
先進的窓リノベ2025事業
断熱性能の高い窓への改修を支援する制度。申請者は「リフォーム工事の発注者(建物所有者)」である必要があり、借主は対象外。
北海道省エネ改修補助(道独自制度)
北海道が実施する断熱・省エネ改修への補助。原則として「建物所有者」が申請主体。賃貸住宅の借主単独では申請できません。
各市区町村の耐震改修補助
耐震診断・耐震改修補助は、ほぼすべての制度で「所有者」を申請要件としています。賃貸の借主が申請できるケースは極めてまれです。
なぜ借主は対象外なのか(まとめ)
| 理由 | 説明 |
|---|---|
| 所有権要件 | 補助金は「資産価値向上」を前提としており、資産を持つ所有者が主体 |
| 原状回復義務との矛盾 | 借主が大規模改修をすると退去時に原状回復が求められる可能性がある |
| 書類要件 | 登記事項証明書・工事請負契約書の名義が一致しないと申請不可 |
| 二重受給防止 | 同一工事でオーナーと借主が別々に申請できると二重受給になる |
大家・オーナーが使える補助金
賃貸住宅のオーナーは、所有者として各種補助金を活用してリフォームをおこない、入居者の居住環境を改善することができます。
住宅省エネ2025キャンペーン関連制度
2025〜2026年度にかけて国が展開する省エネ支援パッケージ。賃貸住宅も「所有者(オーナー)」が申請することで対象となります。
主な対象制度
| 制度名 | 補助上限(目安) | 対象工事 |
|---|---|---|
| 先進的窓リノベ事業 | 最大200万円/戸 | 断熱窓への改修 |
| 給湯省エネ事業 | 最大13万円/台 | 高効率給湯器への交換 |
| 賃貸集合給湯省エネ事業 | 最大5万円/台 | 賃貸集合住宅の共用給湯設備 |
賃貸集合住宅向けに特化した「賃貸集合給湯省エネ事業」は、アパート・マンションオーナーが給湯器を高効率機種に一括交換する際に特に有効です。
北海道・市区町村の断熱・省エネ補助
北海道は全国屈指の寒冷地であるため、断熱改修への補助は充実しています。
北海道ゼロカーボン北海道住宅断熱化補助
北海道が推進する住宅断熱化事業。賃貸住宅も所有者が申請することで対象となります。断熱材の追加・窓の断熱化・気密改修などが補助対象。
各市区町村の独自補助
- 札幌市「住宅エコリフォーム補助制度」: 断熱改修・太陽光発電設備等が対象
- 旭川市・帯広市・函館市など主要都市でも独自の補助制度を実施
賃貸住宅オーナーが補助金を活用するメリットは、「入居率の向上」と「光熱費負担の軽減による入居者満足度アップ」の二点です。断熱改修済みの物件は、冬場の光熱費が大幅に抑えられるため、賃貸市場での競争力が高まります。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)整備事業
高齢者向け賃貸住宅(サービス付き高齢者向け住宅)を整備・改修する際に利用できる補助。賃貸住宅のオーナーが高齢者向け設備(バリアフリー化・見守りシステム等)を導入する場合に活用できます。
主な要件
- 床面積25㎡以上(原則)
- バリアフリー基準への適合
- 介護・生活支援サービスの提供
補助額は1戸あたり最大100万円(2026年時点)。都道府県(北海道)への登録申請が必要です。
空き家活用・賃貸化補助(自治体独自)
北海道内の市区町村では、空き家を賃貸住宅として活用するためのリフォーム補助を実施しているところがあります。
主な例
- 空き家を賃貸化する際のリフォーム費用の一部補助(20〜100万円程度)
- 空き家バンクへの登録と連携した補助制度
- 移住定住促進のための改修補助
特に過疎地域が多い北海道では、空き家の賃貸化促進に積極的な自治体が増えています。所有する空き家の活用を検討しているオーナーには、地域の担当窓口への相談が有効です。
分譲マンションの場合
分譲マンションは、賃貸マンションとは異なる独自のルールがあります。
区分所有者(購入者)の場合
分譲マンションを購入して居住している場合、区分所有者として住戸内のリフォームに各種補助金を申請することが可能です。ただし、以下の点に注意が必要です。
専有部分と共用部分の区別
- 専有部分(居室・キッチン・浴室・トイレ等): 区分所有者が単独でリフォーム可能
- 共用部分(廊下・エレベーター・外壁・屋根等): 管理組合の決議が必要
補助金申請も、専有部分の改修は区分所有者が単独で申請できますが、共用部分の改修は管理組合を通じた申請になります。
分譲マンション区分所有者が申請できる補助金(例)
| 制度名 | 申請主体 | 対象 |
|---|---|---|
| 先進的窓リノベ事業 | 区分所有者 | 専有部分の窓改修 |
| 介護保険住宅改修 | 要介護認定者(区分所有者) | バリアフリー改修 |
| 子育てエコホーム支援事業 | 区分所有者 | 省エネ改修 |
管理組合が使える補助金
マンション全体の共用部分の改修は、管理組合が主体となって補助金を申請します。
マンション共用部分リフォーム瑕疵保険
マンション管理組合が実施する共用部分の大規模修繕に対応した保険制度。補助金ではありませんが、修繕費の資金調達計画に組み込むことができます。
省エネ改修への集合住宅向け補助
エレベーター・共用廊下照明のLED化、断熱改修等は管理組合として申請できる補助制度があります。国土交通省「マンション共用部分リフォーム推進事業」(2026年度実施中)では、管理組合が主体となる省エネ改修に補助が出ます。
注意点
- 管理組合での申請は総会決議が必要(特別決議が求められる場合あり)
- 修繕積立金の残高と補助金を組み合わせた資金計画が重要
- 工事業者の選定に時間がかかるため、公募期間に余裕を持って対応する
持ち家購入を検討すべきケース
賃貸住宅では補助金の恩恵を十分に受けられないことが多いため、長期居住を考えている方は持ち家購入も選択肢の一つです。
購入後に使えるリフォーム補助金(北海道版)
子育てエコホーム支援事業(購入+リフォームセット)
新築住宅の購入と同時に省エネ改修をおこなう場合に最大60万円(子育て世帯・若者夫婦世帯は最大100万円)の補助。購入後の早期改修にも対応しています。
北海道省エネ住宅改修補助(2026年)
北海道が実施する断熱改修補助。持ち家であれば最大100万円規模の補助を受けられるケースがあります。特に寒冷地の北海道では、断熱性能の向上による暖房費削減効果は年間数万〜十数万円にのぼることも珍しくありません。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
既存住宅を長期優良住宅の水準に高めるリフォームに対し、最大250万円(三世代同居の場合は最大500万円)の補助。賃貸ではほぼ使えないが、持ち家なら積極的に活用可能。
購入を検討すべき典型的なケース
| ケース | 理由 |
|---|---|
| 現居住地に10年以上定住予定 | 補助金+住宅ローン控除の合計恩恵が賃貸継続より大きくなる可能性 |
| 断熱・省エネ改修をしたい | 北海道では断熱補助の恩恵が特に大きい |
| 高齢の親との同居・近居を検討 | バリアフリー改修補助+同居改修補助の複合利用が可能 |
| 現在の家賃が高い | 住宅ローン+修繕費より家賃総額が高くなる試算なら購入が有利 |
| 将来の相続・資産形成を重視 | 持ち家は資産として残る |
ただし、購入はライフプラン・ローン審査・頭金準備など多面的な検討が必要です。補助金の有利さだけで購入を決断することは避け、ファイナンシャルプランナーや住宅ローンアドバイザーへの相談もあわせておこなうことをおすすめします。
よくある質問(Q&A)
Q1. 賃貸でも大家の同意があればリフォーム補助金をもらえますか?
A. 大家の同意があっても、ほとんどのリフォーム補助金では「申請者=所有者(大家)」が要件となっています。借主が申請者になれる制度は、介護保険住宅改修費と一部の障がい者向け自治体補助に限られます。大家の同意は「工事を実施する許可」として必要ですが、それ自体が申請権限を与えるものではありません。
Q2. 介護保険の住宅改修は賃貸のどんな工事に使えますか?
A. 手すりの設置、段差の解消、床材の変更(滑り止め目的)、扉の引き戸化、洋式便器への交換が対象です。エアコンの設置・壁紙の張り替え・キッチンのリフォームなど、介護に直接関係しない工事は対象外です。20万円の限度額内で実施できる工事を担当ケアマネジャーと相談して決めましょう。
Q3. 大家がリフォーム補助金を使って工事した場合、家賃を上げられることはありますか?
A. 補助金を受けた工事によって住宅の価値が向上した場合、賃貸借契約の更新時に大家が家賃の見直しを提案することは法律上許容されています。ただし、借地借家法により一方的な家賃値上げは制限されており、入居者の合意が必要です。事前に大家とコミュニケーションをとっておくと安心です。
Q4. 分譲マンションを賃貸に出している場合、オーナーとして補助金を使えますか?
A. 原則として使えます。ただし、一部の制度では「居住者(本人居住)」を要件としているものもあります。空き室中の部屋への改修、または借主が住んでいる状態での工事(借主の同意が必要)で補助金を申請できるかどうかは、各制度の要件を事前に確認してください。子育てエコホーム支援事業など、「自ら居住するための」工事のみを対象とする制度は賃貸中の物件には適用されません。
Q5. 賃貸住宅から持ち家に引っ越した場合、すぐに補助金を申請できますか?
A. 購入後のリフォームに対応している補助金は多くあります。ただし、「工事開始前に申請(事前申請)」が必要な制度がほとんどです。購入契約後、引き渡し前または直後に補助金の公募状況を確認し、工事の発注前に申請手続きを進めることが重要です。補助金の公募期間が終了していたり予算が枯渇していたりする場合もあるため、購入計画の段階から情報収集しておきましょう。
Q6. 賃貸住宅のオーナーが省エネ改修をした場合、入居者にも何かメリットはありますか?
A. あります。特に断熱改修・高効率給湯器への交換は、入居者の光熱費削減に直結します。北海道の場合、適切な断熱改修をおこなうことで冬季の暖房費が月1〜3万円程度削減されるケースもあります。オーナーが補助金を活用して省エネ改修した物件は「ZEH基準適合」などの認証を取得している場合もあり、検索・内見時の差別化ポイントになっています。
Q7. 賃貸住宅での介護保険住宅改修で、退去時に原状回復は必要ですか?
A. 一般的に、介護保険住宅改修で設置した手すりや段差解消スロープについては、退去時の原状回復義務が生じないケースが多いです。ただし、これは賃貸借契約の内容によって異なります。工事前に大家と書面で「退去時の原状回復不要」について合意しておくことを強くおすすめします。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」でも、バリアフリー化工事については借主の原状回復義務を軽減する方向が示されています。
まとめ
賃貸住宅と補助金の関係を整理すると、次のようになります。
賃貸住宅と補助金のまとめ表
| 立場 | 使える制度 | 注意点 |
|---|---|---|
| 賃貸の借主 | 介護保険住宅改修費・障がい者向け自治体補助 | 大家の承諾書が必要 |
| 賃貸のオーナー | 省エネ補助全般・空き家活用補助・サ高住補助 | 申請者=所有者として申請 |
| 分譲マンション区分所有者 | 専有部分の各種補助金 | 共用部分は管理組合が申請 |
| 持ち家(購入後) | すべての補助金 | 工事前申請が原則 |
賃貸住宅の借主として利用できる補助金は限られていますが、介護・障がい対応のニーズがある場合は積極的に活用する価値があります。大家・オーナーの立場であれば、省エネ改修補助を活用することで物件の競争力を高めながら入居者の光熱費削減にも貢献できます。
2026年現在、北海道では国・道・市区町村が連携した住宅改修支援が充実しており、特に断熱改修については寒冷地特有の高い補助水準が維持されています。
まずはお住まいの市区町村の住宅担当窓口または北海道の住宅補助窓口に相談し、現在の居住形態(賃貸/持ち家/分譲マンション)と改修の目的を伝えた上で、利用可能な制度を確認するところから始めましょう。
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